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【中学歴史教科書8社を比べる】133 ⒂ 「琉球・沖縄」の描き方のちがい <その33 ⑥日本復帰から現在まで 2:基礎知識2/2・実物コピー1/2>

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ⅰ 基礎知識  その2

 

<ウィキペディア:沖縄返還>より

・「近隣国の懸念
 沖縄の地政学的な有用性から、大韓民国が日本に対して、また中華民国(台湾)はアメリカ合衆国に対し、東アジアの安全保障体制への沖縄返還が及ぼす影響や懸念を表明していた。」(※松永注:米軍事力の維持を望んでのこと)

 

・「返還後の沖縄
 他の46都道府県同様に沖縄県庁や沖縄県警のほか、各自衛隊(航空自衛隊・海上自衛隊・陸上自衛隊)なども置かれたが、自衛隊は旧日本軍の後身と見られたことから、隊員が住民から迫害を受けたほか、住民票を交付されなかったり隊員の子弟が学校に入学できないなどの人権侵害を含む社会事件が発生した。
 また近年においても、県内のマスメディアで自衛隊を恣意的に扱っているなど、差別的な感情があるとする意見もある。」

 

・「返還前は就職難から県外への移住者が多く、人口が減少していた時期もあったが、復帰後は逆に本土からの移住者(Uターン者を含む)が大幅に増え、2010年度(平成22年度)の合計特殊出生率は1.87人と、沖縄県の出生率が比較的高いこともあいまって人口は堅調な増加が続いている(沖縄県の人口統計を参照)。
 特に2000年代(平成12年-平成21年)後半からは、子育て世代の若い夫婦や定年後の中高年を中心に沖縄移住がブームとなっている。
 2005年(平成17年)以降、日本の人口は減少しているが、沖縄県が人口減に転じるのは2025年頃と、日本の全都道府県で最も遅いと予測されている。」

 

・「2012年(平成24年)にNHKが実施した、沖縄県民を対象にした世論調査では、本土復帰について肯定的な回答(「非常によかった」「まあよかった」)が合わせて78%だった。」

 

・「課題
 沖縄返還は実現したものの、課題は多く残されている。2010年(平成22年)現在も米軍専用施設面積の約74%が沖縄県に集中し、沖縄本島の19.3%が基地に占められる(県全体の基地の割合は10.7%)。
 たびたび引き起こされるアメリカ兵による事件が日米地位協定によってうやむやにされることも県民感情を逆撫でする。」

 

・「復帰時に経済の「本土並み」がスローガンとして掲げられたが、振興政策は公共事業を中心とした建設業の投資に偏り、道路や箱物ばかりが立派になったと揶揄される。日本で最も安い地域別最低賃金が設定されている県のひとつ…」

 

 ・「かつて本土復帰運動と同時に、琉球独立運動が存在した。
 現在でも独立運動は存在するが、県民の間で大きな支持を得るには至っていない。 
 2006年(平成18年)の沖縄県知事選で琉球独立党(現・かりゆしクラブ)の候補は6,000票ほどを獲得したにとどまった。また、2005年度(平成17年度)より毎年実施している世論調査で、2007年(平成19年)に琉球大学法文学部の林泉忠准教授が行った調査によると、独立の是非を問う質問に「独立すべき」と答えたのは20.6%」

 

<ウィキペディア:琉球独立運動>より

・「1995年、沖縄県で米軍基地に対する反対運動が起こったときなどに、琉球独立論が取り上げられた。独立を明確に表明して活動していたのはかりゆしクラブのみあったが、2013年5月15日に松島泰勝(龍谷大学教授)らの主導により、琉球民族独立総合研究学会が設立された。」

 

・「沖縄県民の「独立」に関する意識
 2011年11月、琉球新報が行った県民意識調査で「今後の日本における沖縄の立場(状況)について」という質問に対し、以下の回答があった。 

 今後の日本における沖縄の立場(状況)について

       沖縄県

 2011年

現行通り日本の一地域(県)

61.8%

特別区(自治州など)

15.3%

独立

4.7%

 

・「中国による琉球独立論
「中華人民共和国には、琉球が日本ではなく中国の領土であるという認識を持つ者がいる。明や清などの歴代中華王朝に朝貢していた歴史を元にしている。」

「2013年5月8日の環球時報(中国共産党機関紙・人民日報系)では、「中国は琉球独立運動を支持すべき」とし、さらに大半の沖縄住民のルーツは中国にあるとして住民を「同胞」と呼び、1972年の本土復帰後に日本政府が沖縄を「国内植民地」として扱い、沖縄の民族は圧迫を受けており、「同胞」を解放せよと主張している。

 しかし、近年のDNAの研究によると、沖縄の人々は中国人や台湾人とは遠く、日本の本土の人々と近く、沖縄の人々のルーツは「日本由来」とする研究が複数出ている。

 環球時報は同年5月11日には、「沖縄独立を支持する民間組織を設立して日本の不法占拠を世界に知らせ、国際的に問題提起する。日本がそれでも敵対するなら中国は沖縄独立の勢力を育成するべき」とした。」

 

・「2013年5月8日、沖縄県知事公室地域安全政策課が中国に対する県民の意識調査結果を公表、89.0%が否定的な印象を表明した。 

    沖縄県民意識調査

     中国に対する印象

2013年

どちらかといえば良くない印象を持っている

57.9%

良くない印象を持っている

31.1%

 

ⅱ 実物コピー 1/2(3社)

※日本復帰から現在まで、まず、各社のすべての記事を掲載する。

【育鵬社】

 

【自由社】

 

【東京書籍】


 

~次回、実物コピー2/2~ 

<全リンク⇒1へ> 現代の沖縄 111112113114115116117118119120121122123124125126127128129130131132133・>


【中学歴史教科書8社を比べる】134 ⒂ 「琉球・沖縄」の描き方のちがい <その34 ⑥日本復帰から現在まで3:実物コピー2/2>

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ⅱ 実物コピー 2/2(5社)※まず、各社のすべての記事を掲載。米軍基地に関する部分を蛍光可している。

 

【帝国書院】

 

 

【教育出版】

 

 

【日本文教】

 

 

【清水書院】


 

 

【学び舎】


 


 

 

※学び舎は格別に”沖縄好き”ですね。 

~次回、まとめと考察~ 

<全リンク⇒1へ> 現代の沖縄 111112113114115116117118119120121122123124125126127128129130131132133134・>

 

3月特別例会のようす 講演会「トランプ大統領と日本の針路」 講師:佐々木類(産経新聞九州総局長)

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 3/22夜に唐津市大手口ビル大会議室で開いた講演会。
 私(松)はそのとき東部支部の研修会「中学歴史教科書8社を比べて」で出張していたのですが、数人の方からお話を聞き、資料ももらったので…

 

■まくら (資料の一部)

 では、衝撃の事実 ↓

※この二人の「少女」は、米兵に殺されてしまったそうです。

 右側の「少女」・・・どこかで見たような気がしませんか?

 下は、抗議デモ

※この↓「慰安婦像」は、本来は上の「少女)像だそうです! なんと、流用しているとか……

 

 

■本題 ~内容は、この本を買って読んでくださいね~

 

 

 

 

 

【中学歴史教科書8社を比べる】135 ⒂ 「琉球・沖縄」の描き方のちがい <その35 ⑥日本復帰から現在まで4:まとめと考察⑴>

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ⅲ まとめと考察 ⑴

 

1 復帰運動の理由

 復帰したい理由とは”心情や思い”であり主観的な心。当然ながらさまざまな理由があったことはまちがいない。

 

◆「祖国復帰」を採り上げたのは日本文教のみ。復帰運動の中心になったのは「沖縄県祖国復帰協議会」だったのに…

 <ウィキペディア:沖縄県祖国復帰協議会 2017.3.30>より

・「沖縄県祖国復帰協議会は、1960年に結成された復帰運動の中心的団体。
 沖縄教職員会などの諸団体が母体となって結成された。関係諸機関に対する復帰要請や復帰に関する宣伝活動を主たる目的としていた。
 しかし、ベトナム情勢の悪化とキャラウェイ高等弁務官の強権的な政治手法(キャラウェイ旋風)がもとで、復帰運動は反米・反戦色を強めるようになり、事あることに琉球列島米国民政府と対立するようになった。」

 

◆「反米」や「反基地」を明記したのは、自由社、東京書籍、帝国書院、教育出版、清水書院。

 もちろん、まちがいではない。米国は、県民戦没者のほとんどを爆弾・砲弾や火炎放射、毒ガスなどで殺し、占領後も沖縄県民にとっては《悪魔のような敵国・敵兵》だったのだから。(※終戦7年後の昭和27年に主権回復した「日本本土」の多くの人々にとっては、おかれた状況がまったくちがうので、なかなか理解しがたいところがあると思うが…)

 ただし、実際には、反米・反基地の思いだけではなく、「祖国復帰」を願った県民も多かったのではないだろうか。

 だから、私が編集長なら、「祖国復帰の願い」と「反米・反基地の心情」を併記させる。

 

~次回、まとめと考察⑵~ 

<全リンク⇒1へ> 現代の沖縄 111112113114115116117118119120121122123124125126127128129130131132133134135・>

【中学歴史教科書8社を比べる】136 ⒂ 「琉球・沖縄」の描き方のちがい <その36 ⑥日本復帰から現在まで5:まとめと考察⑵>

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ⅲ まとめと考察 ⑴

 ※まとめ表再掲

 

2 「非核三原則」の描き方

 

<ウィキペディア:日米核持ち込み問題 2017.3.29>より

・「1967年(昭和42年)に佐藤栄作内閣総理大臣が「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を打ち出し、衆議院において非核三原則を遵守する旨の国会決議が行われた。「日本に他国から核兵器を持ち込まさせない」ということで1974年(昭和49年)に提唱者の佐藤栄作がノーベル平和賞を受賞した。」

 

 しかし、日本復帰後の沖縄では「持ち込ませず」は守られなかった。

 日本が現代世界を生き抜くために、《核兵器(大量破壊兵器=戦争抑止力をもつ兵器)についての知識》は必須知識の一つ。つまり、民主主義体制下の日本国民は知っておかねばならないこと。

 したがって、「非核3原則」のことや、「沖縄の核密約」について言及しないのは →△ 育鵬社、清水書院。

 

 

3 「米軍基地・米兵」の描き方 

 

 ⑴ 日本にとって、在日米軍(基地)はどんな存在なのか?

 ① 米国のアジア・太平洋覇権のための軍事力

 ② 日本の防衛力・軍事的抑止力

 

<ウィキペディア:在日米軍 2017.3.29>より

・「在日米軍は、在日アメリカ軍、または条約などでは日本国における合衆国軍隊ともいい、日米安全保障条約第6条により日本国内に駐留するアメリカ軍の総称である。陸軍・海軍・空軍・海兵隊・沿岸警備隊の合衆国五軍全てが展開している。指揮系統としては、アメリカ太平洋軍の傘下にある。

なお、日本には、横田飛行場に常駐している4人の国連軍駐日武官、係争中の領土(竹島、北方領土等)を除き、米軍以外に駐留する外国軍は存在しない。・・・

アメリカ合衆国海軍が使用する横須賀海軍施設(第七艦隊空母ロナルド・レーガン母港)、厚木航空施設(空母艦載機本拠)をはじめ、空軍・沿岸警備隊が使用する横田基地(在日米軍司令部・国連軍後方司令部が所在)、空軍嘉手納基地、海兵隊岩国基地、陸軍キャンプ座間、トリイステーションなど、ロシア連邦・中華人民共和国・中華民国・朝鮮民主主義人民共和国・大韓民国・フィリピン・ベトナム社会主義共和国にも近い関係上、東アジア・東南アジア・東シナ海・南シナ海・太平洋方面の要所であり、アジア有事の際には最重要拠点としての役割も持っている。

2010年現在の展開兵力は、日本を母港とする第七艦隊艦船乗組員を含めて総計約5万人で、在韓米軍のほぼ倍の勢力である。」

 

・「日本国の安全保障問題 アメリカ軍基地が日本国内から無くなると、アメリカ軍による中華人民共和国や北朝鮮に対する軍事的抑止力が落ちる可能性も考えられる。また中華人民共和国の領土侵犯や内政干渉が激しくなる可能性があるとも指摘されており潜在的問題は多い。」

 

 もしも、日本が戦後軍事力を持たず(=憲法9条2項を極端に狭く解釈する場合)、かつ、在日米軍が日本におらず安保条約もなかったとしたら、今の日本はあるだろうか? 

 おそらく、アメリカ合衆国、ソビエト連邦(ロシア)、大韓民国(※現実に日本が軍隊:自衛隊をもたなかった1952年に竹島を占領し強奪=侵略した)、中華人民共和国、中華民国(現:台湾)などに分割統治されているだろう。

 したがって、日本の義務教育の歴史教科書は、上記②の米軍の存在理由を書くのが当然だ。(※全社がここではそのことを書いていないが、後に別項(「安保条約」など)で比べる。)

 ただし、沖縄の米軍および日本自衛隊の負の側面・要素だけを強調して書くのは完全に異常 →× 日本文教、清水書院、学び舎。

 東京書籍、帝国書院、教育出版は強調しているとまでは言えず →△

 また、米軍駐留が尖閣諸島防衛のための抑止力になっているのは明らかなので、米軍の抑止力にまったく言及しないのは →△ 全社。

 

 

 ⑵ 沖縄県民にとって在日米軍(基地)はどんな存在なのか?

 

<参考 ウィキペディア:在日米軍2017.3.29 >より

・「2010年5月に、毎日新聞と琉球新報が、沖縄県民を対象に行ったアンケートによると、 海兵隊の駐留については、「必要ない」が71%で、「必要だ」は15%になった。 在日米軍専用施設の約74%が沖縄に集中していることに関しては、「整理縮小すべきだ」が50%、「撤去すべきだ」が41%だった。」

 このような県民世論に配慮して、例えば、《普天間基地の辺野古への移設》など、歴代自民党政権は少しづつだが《米軍基地の(面積と危険性の)縮小》政策を実施している。

 ただし、「本土」の日本人は、《自分たちが、地獄のような沖縄戦の実感を持たず、かつ、(かつての敵国の)基地と兵士が日常にありふれている状況についての実感もほとんどもっていない》ということを自覚しておかねばならない。

 日本民族がお互いの共感をなくしたら、2000年ほど(実質的には15000年ほどだと私は感じているが…)の世界で最古の歴史を持つ日本国は、しだいに解体へ向かうのだから… 

 

 

4 「自衛隊」の描き方

 

 自衛隊の配置に言及しているのは4社・・・教育出版、日本文教、清水書院、学び舎。

 自衛隊の存在を、米軍と同一視し、かつ、《現在でも「不安」》という内容は明らかにまちがっている。→× 日本文教、清水書院。

 

<ウィキペディア:沖縄県 2017.3.29>より

・「自衛官への差別 

 職業差別として、自衛官に対する差別がある。
 本土復帰に伴い自衛隊が沖縄に配置されると、自衛官たちは人殺し呼ばわりされ、自衛隊員の子供は半年以上も学校に通うことが出来なかったほどである。
 また様々な行事から閉めだされた上に、参加が許可されても自衛隊を名乗ることを許されなかった。
 自治体は自衛官やその家族の住民登録を拒否し、ゴミの処理を受け付けなかった事例もあった。
 那覇ハーリーで自衛隊を名乗って参加することが許されたのは2001年のことであった。

 2017年3月9日には宮古島市の市議である石嶺香織が、自身のFacebookに「(アメリカ)海兵隊から訓練を受けた陸上自衛隊が宮古島に来たら、米軍が来なくても絶対に婦女暴行事件が起こる」などと投稿し炎上したため、「自衛隊全体を批判しているわけではない」と謝罪し「戦争のための軍隊という仕組みに対して(批判した)」などと言及したところ、再度炎上する事態となり、石嶺は2つの投稿をFacebookから削除した。

 宮古島市議会は「投稿は自衛隊員、米海兵隊員に対する職業的差別であり、断じて許すことができない暴言と言わざるを得ず、市議会の品位を著しく傷つけるものだ」などとして石嶺に対する辞職勧告決議(賛成20、反対3、欠席1)を可決した。
 石嶺は「私は議会が選んだ議員ではない」などとして辞職を拒否している。」

 

~次回、尖閣諸島問題~ 

<全リンク⇒1へ> 現代の沖縄 111112113114115116117118119120121122123124125126127128129130131132133134135136・>

【中学歴史教科書8社を比べる】137 ⒂ 「琉球・沖縄」の描き方のちがい <その37 ⑦尖閣諸島問題1:基礎知識/実物コピー>

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⑦ 尖閣諸島問題

ⅰ 基礎知識

 

 ◆<ウィキペディア:尖閣諸島>より

・「尖閣諸島(せんかくしょとう)は、東シナ海の南西部にある島嶼群。石垣島北方約130 – 150kmの、北緯25度43分 - 56分、東経123度27分 - 124度34分の海域に点在する。尖閣列島(せんかくれっとう)ともいう。日本が実効支配しており、中華人民共和国および中華民国がそれぞれ領有権を主張している。「尖閣諸島」および「尖閣列島」は日本における呼称であり、中国では釣魚群島あるいは釣魚島及びその付属島嶼、台湾では釣魚台列嶼と呼ばれている。」

 

・「尖閣諸島は魚釣島、北小島、南小島、久場島、大正島、沖の北岩、沖の南岩、飛瀬などで構成される。総面積は約5.56km2。戦前には日本人居住者がいた時期もあったが、1940年頃以降はいずれも無人島となっている。」

 

・「領有権に関する主張
 日本政府の公式見解は尖閣諸島の編入手続きは国際法で言う先占の法理手順を満たしており「この領域に領有権問題は存在しない」というものであるが、中国政府や台湾政府は、1971年以降から領有権を主張して「領有権問題が存在する」と主張している。日本の行政区分では沖縄県石垣市に属するが、台湾は宜蘭県に属すと主張している。」

 

 

 

ⅱ 実物コピー

【育鵬社】 

 

 

 

 

【自由社】 

  

 

 

 

 

【東京書籍】 

 

 

  

【帝国書院】 

 

 

 

  

 

【教育出版】 

 

 

  

 

【日本文教】 

 

 

  

【清水書院】 

 

 

  

【学び舎】

 

※学び舎の《自民党政権は敵だ/文科省の言うことは聞きたくない!》という裏編集方針はとても分かりやすいですね。
 これは、《(いまや”風前の灯”になりつつある)日教組核心部の、ソ連・極東軍事裁判・中国・朝鮮 風歴史認識と、対日方針》の一端のようです。

 

~次回、まとめと考察~ 

<全リンク⇒1へ> 現代の沖縄 111112113114115116117118119120121122123124125126127128129130131132133134135136137・>

 

《著者:松永正紀  h22(2010)年度 唐津地区(佐賀県唐津市+東松浦郡)小中学校校長会長》

【中学歴史教科書8社を比べる】138 ⒂ 「琉球・沖縄」の描き方のちがい <その38 ⑦尖閣諸島問題2:まとめと考察1/2>

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ⅲ まとめと考察 1/2

 

 

 

1 領土編入の経緯の描き方

 

 「1895(明治28)年の編入」については、7社が正確に記述。育鵬社、自由社、東京書籍、帝国書院、日本文教の5社は、経緯についてていねいに説明している。

※このように《政治的事象で各社の足並みがかなりそろっている》のは、とてもめずらしい。そのなぞ解きをすると、

 

 ◆文科省の指導による・・・「中学校学習指導要領解説 社会編」(h20.7/26.1一部改訂) <p99(歴史的分野)>より引用する。

・「「領土の画定」では,ロシアとの領土の画定をはじめ,琉球の問題や北海道の開拓を扱う。その際,我が国が国際法上正当な根拠に基づき竹島,尖閣諸島を正式に領土に編入した経緯にも触れる。また,中国や朝鮮との外交も扱う。 」

 つまり、この「解説」(規定)が、h26.1に示されたので、h27年度に8社が発行した「見本本(みほんぼん)」により採択されて、28年度(昨年度)から使われている現行教科書の記述の《足並みがそろった》のだ。

 

 なお、今年話題になっている、次期の「中学校学習指導要領(案)」には、初めて、次のような新しい内容が示されている。

・「「富国強兵・殖産興業政策」については,この政策の下に新政府が行った,廃藩置県,学制・兵制・税制の改革,身分制度の廃止,領土の画定などを取り扱うようにすること。その際,北方領土に触れるとともに,竹島,尖閣諸島の編入についても触れること。」

 

 <参考> 現行指導要領では、「領土の確定」に関しては次のようにしか書いていない。

・「イ イの「開国とその影響」については,アの欧米諸国のアジア進出と関連付けて取り扱うようにすること。「富国強兵・殖産興業政策」については,この政策の下に新政府が行った,廃藩置県,学制・兵制・税制の改革,身分制度の廃止,領土の画定などを取り扱うようにすること。」

 

  つまり、現在の中学歴史教科書の発行会社(の多く)に、《①すべての日本国民が常識として知っておくべき、かつ、②今後の日本の国策と密接に関係している歴史事象》をきちんと(=偏向せずに)書かせたいなら、《指導要領やその解説書や検定基準によって法的に強制しなければできそうにない》ということでしょう。

 かなりなさけない状況だと思いませんか? (まともな日本人が作っているとは思えない)なさけない地上波テレビと同じように…

 

~次回、まとめと考察2/2~ 

<全リンク⇒1へ> 現代の沖縄 111112113114115116117118119120121122123124125126127128129130131132133134135136137138・139・140(この項完>

【中学歴史教科書8社を比べる】139 ⒂ 「琉球・沖縄」の描き方のちがい <その39 ⑦尖閣諸島問題3:まとめと考察2/2>

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ⅲ まとめと考察 2/2

 

 

 

2 「領有権問題」の描き方

 ◆重要なできごと

①中国(と台湾)による領有権の主張のはじまり 

②中国による日本領海への侵入の常態化(および関連事象)

③日本政府による見解発表(=「領有権の問題は存在しない」)

 

・領有権問題についてまったく書いていない →× 清水書院、学び舎。

・①と②・・・育鵬社。

・①と③・・・東京書籍、帝国書院。←△(※②が欠落)

・①と②と③・・・自由社、教育出版、日本文教。

 

 

◆《②中国による日本領海への侵入の常態化(および関連事象)》は、国際関係としては異例で異常な状況。

 多くの国は、国際的慣習にのっとり、《警告をはっきりと無視して意図的に侵犯した(し続ける)船や航空機》に対しては、武力威嚇や攻撃により「撃退」あるいは「撃沈・撃墜」している。

 ②の異常で危険な事態は2012年に始まり、次第にエスカレートし続けている状況であり、領有権問題を採り上げているのに、そのことを書かないのはおかしい。

 

 <ウィキペディア:尖閣諸島 2017.4.2>より

・「2012年9月の日本政府による尖閣諸島国有化以降、中国の国家海洋局の監視船等の公船が尖閣諸島への領海侵犯を高頻度で繰り返しており、中国政府機関の航空機が領空侵犯も行っている。」

 

 

◆③の有無について

 政府の公式見解として書いたほうがいいと思うが、「領土編入の経緯」がきちんと書いてあれば中学生は当然日本の領土であることを理解できるので、③が書いてなくても領有国を誤解することはないだろう。

 

~次回、「琉球・沖縄」の総まとめと考察~ 

<全リンク⇒1へ> 現代の沖縄 111112113114115116117118119120121122123124125126127128129130131132133134135136137138139・140(この項完>


【中学歴史教科書8社を比べる】140 ⒂ 「琉球・沖縄」の描き方のちがい <その40 総まとめと考察>

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■ 「琉球・沖縄の描き方」の総まとめと考察

 

 

 各社のちがいが大きく、また、現在のもっとも難しい国内政治課題なので、「琉球・沖縄」シリーズは、当初の予想をはるかに超えて40回にもなりました。

 古代:縄文時代から始め、ここまで続けてきて感じるのは、各社の志のちがい・・・その大きなちがいを分けるのは、自分の国:ふるさとへの想いのようです。

 このごろだいぶ使いやすくなってきた言葉で言えば、愛国心…

 

~次回から江戸時代へ進む~ 

<全リンク⇒1へ> 琉球101~/現代の沖縄 111112113114115116117118119120121122123124125126127128129130131132133134135136137138139140(この項完>

【中学歴史教科書8社を比べる】141 ⒃ 「部落差別」の描き方のちがい <その1 基礎知識/実物コピー1/3>

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⒃ 「部落差別」の描き方のちがい

ⅰ 基礎知識

<ウィキペディア:士農工商>より

・「概要 
 士農工商(四民)は、古代中国から用いられた言葉で、紀元前1000年頃には既に見られる。意味としては、漢書に「士農工商、四民に業あり」とあるように、「民」の職業は4種類に大別されるということになる。そして、これを連続して表記することで、「老若男女」のように、あらゆる職業の民、つまり「民全体」または「みんな」といった意味で使われる。

 近世日本では、遅くとも17世紀半ばまでに「士」が武士を意味するように意味が改変されて受け入れられた。また、近代以降には「士農工商」が近世の身分制とその支配・上下関係を表す用語として認識されるようになった。しかし、1990年代になると近世史の研究が進み、士農工商という身分制度や上下関係は存在しないことが実証的研究から明らかとなり、2000年代には「士農工商」の記述は教科書から外されるようになった。これに関係して、「四民平等」も本来の意味(すべての民は平等)ではなく、「士農工商の身分制からの解放」という認識を前提に用いられたものであったため、教科書から消された。」

 

<ウィキペディア:部落問題>より

・「概要 

 元来中世から近世を通して存在した賤民問題を処理するために明治政府は維新後の改革の一つとして賤民を廃止し、他の身分と同じく「平民」に編入した。しかし、他の身分の者は旧賤民と同一の身分とされることを嫌い、「新平民」と呼んで差別することとなった。明治・大正・昭和と時代を経て、新平民の暮らしにおける諸問題は、表面化し社会問題となる。

 第二次世界大戦後の日本国憲法における基本的人権の尊重の概念により、皇室を特別として、社会階級制度が消失した後も、多くの課題が残る。現在では、社会問題に対処するために部落団体・日本国政府・地方公共団体などが主張・提訴・改善・解決しようと取組む課題の総称となっている。

 政治的・法的・因習文化的な諸問題を多く含む社会問題であり、現代では世系差別と地域に対する差別を同和問題という。」

 

 

ⅱ 実物コピー 1/3

※1 江戸~現代の通史になるので、まずは、各社の関係記事をすべて紹介する。そのあと観点別に比べていく。 

 

【育鵬社】

※2 江戸時代の身分制度・・・研究が深まり、1990年代からは、それまでの「士農工商」ではない状況が明らかになっていった。したがって、全社が同じようにその新しい姿を描いている。

 おおよそ30歳以上の日本人は、学校では《実像とはちがった「士農工商の身分制度」》を習っていたことになる。
 そこで、特別に、育鵬社については、「江戸時代の身分制度」》の項をすべて載せる。

 

 

 

 

 

(明治時代)

 

 (大正時代)

 

~次回、実物コピー 2/3~ 

<全リンク⇒1へ> <部落差別 141・>

【中学歴史教科書8社を比べる】142 ⒃ 「部落差別」の描き方のちがい <その2 実物コピー2/3>

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ⅱ 実物コピー 2/3

 

【自由社】

 (江戸)

 

(明治)

 


(大正)

 

 

 

 

【東京書籍】 ※記事量がもっとも多い。

 

(江戸)

 

 

(明治)

 

 

 

(大正)

 


 

 (戦後すぐ)

 

 

※↓ 東京書籍は、「(現在の)日本社会の課題」について独自の見解を書いているので、その項をすべて紹介する。
 (各社の「現代日本の課題」については、このシリーズの最後あたりで比べる予定)

 

 

 ※上記第3章「持続可能な社会に向けて(全2頁)」の項立て=①上記、②「グローバル化の進展」、③「歴史を学んで」

 

 

【帝国書院】

 

(江戸)

 

 

(明治)

 

 

(大正)

 

 

~次回、実物コピー 3/3~ 

<全リンク⇒1へ> <部落差別 141142・>

【中学歴史教科書8社を比べる】143 ⒃ 「部落差別」の描き方のちがい <その3 実物コピー 3/3-1>

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ⅱ 実物コピー 3/3-1

【教育出版】

 

(江戸)

 

(明治)

 

(大正)

 

 

(戦後すぐ)

 

 

(現在)

 

 

【日本文教】

 

(江戸)

 

(明治)

 

(大正)

 

 

(戦後すぐ)

 

 

(現在)

 

 ※現在の日本で「解決をせまられる国内問題」・・・はたして「もっとも重要な課題」が「人権の尊重」なのかどうかについては、読者それぞれの意見をお持ちでしょう。
 人口問題(少子化、高齢化)、労働問題(所得格差、働き方…)、現状に対応していない憲法の改正問題、エネルギー問題、防衛力強化問題、などいろいろありますね。

 このように、中学生に対して、各社とも、巻末で、「現在と未来の日本の課題」について独自の歴史観・政治観を述べて(=教えて)います。
《つっこみどころ満載》という感じなので、(かなり後になりそうですが)この比較シリーズの最後(近く)で、徹底的に調べることにします。

 

~次回も実物コピー 3/3-2~  

<全リンク⇒1へ> <部落差別 141142143・>

中学歴史教科書8社を比べる】144 ⒃ 「部落差別」の描き方のちがい <その4 実物コピー 3/3-2>

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ⅱ 実物コピー 3/3-2

【清水書院】

 

 

 

(明治)

 

(大正)

 

 

(戦後すぐ)

 

 ↓(現在)※”今の日本の問題はなにか”、と自分なりに考えながら読むとおもしろいかも…

 

 

 

 

 

【学び舎】

 

(江戸)

 

(明治)

 

(大正)

 

~次回、まとめと考察~

<全リンク⇒1へ> <部落差別 141142143144・>

【中学歴史教科書8社を比べる】145 ⒃ 「部落差別」の描き方のちがい <その5 ⅲ 江戸時代の身分制度 1/2>

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ⅲ 江戸時代の身分制度  1/2

 

 

 

 

 「部落差別問題の状況」も、「同和教育の内容」も、この十数年のうちにかなり変わってきた。

 と、珍しく断定文で言えるのは、私自身の小学校奉職34年の経験から・・・昭和51(1976)年から平成22(2010)年の間に12校で勤めたが、そのうち「同推(=「同和教育推進教員)」配置校、つまり校区内に「同和地区」がある学校が7校。

 そこで、いくらか《教育現場の生の体験=一次資料》を思い出しながら<脱線>もさせていただきたい。
 ただし、すべて上記の時期の佐賀県でのこと(現在の状況は不明)であることをお知りおきください。

 

1 名称

 学び舎の一部を除いて、各社共通している。 ※他にも地方独自の名称はかなりある。

 

<脱線> 実は、この「名称」(=「賤称語」)が大問題。

 《(学問や授業、関係会議の場等以外の)多くの学校内や地域で、どんな理由であれ、この名称を口にしただけで、部落解放同盟や全日本同和会などが問題にする》という仕組み(システム)があった。
 これは、大人社会では、差別防止のための《絶大な抑止力》として有効だった。

 ところが、中学校では毎年と言っていいほど「賤称語事件」が起きた。※毎年該当学年の中学生にわざわざ歴史教科書で教えるのだから、無くなることはなかった。

 当然、当該校と教育委員会と上記「同和組織」では「大問題」となり、何度も対策会議がもたれた。しかも、「改善」が確認されるまで何年も続いた。

 

◆ある先生の提案を聞いたことがある。

 もしも、《中学生が口にしただけで問題化する》のならば、教科書の記述は「賤称語とされている固有名称」を使わず、「さらに下の身分の人々」や「差別された人々」などの一般的な言い方をしたらどうだろうか? (※小学校社会科ではそのような表現をしてある)
 そのほうが、現場の中学生やその親や先生方には親切な配慮だと思う。なかにはびくびくしている人もいると聞く。

 

◇反論1 

 歴史学においては、《当時の「文献」にあり、かつ、社会的に広く使用されていた(歴史的)名称は、そのまま使う》というのが原則だ。

 

◇反論2 

 中学生は、その名称の、「学問的用語」としての要素と「差別用語」としての要素を、明確に認識して使い分けることのできる発達段階にあるはずだ。したがって、教育現場でしっかり教えるべきだ。

 

◇反論3

 現実にまだこの賤称語を使って差別する事象が起きている。事実から目をそむけてはいけない。寝た子は起こさなければならない。  

 

 そのほかにもいろんな反論がありそうですが、皆様はいかがお考えですか。

 

~次回もつづく~

<全リンク⇒1へ> <部落差別 141142143144145・>

【中学歴史教科書8社を比べる】146 ⒃ 「部落差別」の描き方のちがい <その6 ⅲ 江戸時代の身分制度 2/3>

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ⅲ 江戸時代の身分制度  2/3

  ~まとめ表 再掲~

 

 

 2 職業

 各社ともおおむね共通していて、大きく4種類に分けられる。

① 農業などの第1次産業・・・当時の85%ほどの人々がたずさわっていた仕事。

② 死牛馬処理と皮革業・・・「武具」や「せった(=底に皮を張った草履。現在の価格数万円)」作りで、重要産業。

③ 下級役人・・・主に治安にかかわる仕事。今で言えば、警察官や刑務官。

④ 芸能者・・・。定住せず(できず)、各地を巡る踊り手や歌い手、祈祷師、庭園業者など。「河原者」と(も)呼ばれた。

 

<ウィキペデア:差別>より

・「差別(さべつ)とは特定の集団や属性に属する個人に対して特別な扱いをする行為である。」

・「差別の種類

身分に関する差別

 前近代社会においては身分制を敷いた社会がある。近代化の過程で社会契約論などによって身分制は再編成され、階級制へと移行した。法学者ヘンリー・サムナー・メインは「身分から契約へ」という言葉を残している。

  身分差別

穢れ賎民白丁カースト穢多非人 部落差別 家柄差別 黒五類 (文化大革命)クラーク(一括りに「富農」と蔑称された自作農およびその子孫)敵対階層

 

階級と職業に関する差別

 

階級差別 プロレタリアートフリーターニート路上生活者収入による差別、勝ち組・負け組 制限選挙 学歴差別(就職などの面で不利になる場合がある)

  職業差別

土工 百姓 死刑執行人刑務官 軍人軍需企業従事者 警察官 徴税人 と畜 性風俗産業に対する差別 」

 

 ウィキペデアによれば、上記の②③④は、「職業差別」の対象であることが分かる。

 

<脱線> 学校における「同和教育」の変わり方など

 2000年頃から「部落史の見直し」が始まったので、それ以前に中学校で同和教育や歴史教育を受けた方々(おおむね30歳以上)は、部落問題(差別)について、《30歳以下の人々とはかなりちがう知識》を持っておられる可能性が高い。

 そこで、私が理解している変化についてお知らせします。

 

 ※真偽は不明ですが、《見直し以前の学説は、おおむね「同和組織」やその系統の学者等によって唱えられた》と、聞いたことがありますが… どうなのでしょう?

 

~次回もつづく~

<全リンク⇒1へ> <部落差別 141142143144145146・>


【中学歴史教科書8社を比べる】147 ⒃ 「部落差別」の描き方のちがい <その7 ⅲ 江戸時代の身分制度 3/3>

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ⅲ 江戸時代の身分制度  3/3

  ~まとめ表 再掲~

 

 

 2 「けがれ」とはどんなことを意味しているのか

 古代からつづく歴史的日本文明のなかの、「けがれ」の意味内容はとても複雑。

※ 「穢れ」という「訓読み漢字表記」が使われることによって、戦後日本人は(ついこの頃までの私と同じように)、かなり誤解をしている可能性が高いと思われる。

 

① <ウィキペデア:けがれ>より  ※現代人がなかなか分かりにくい考え(意味内容)の部分を引用する。

・「戦後の民俗学では、「ケガレ」を「気枯れ」すなわちがカレた状態とし、などのハレの儀式でケを回復する(ケガレをはらう、「気を良める」→清める)という考え方も示されている。
 この点については「ハレとケ」の項目も参照。」

 

・「神道と仏教

 両者とも穢れに対する意識はあるが、もっとも異なるのは、死そのものに対する考えで、神道では死や血を穢れとするが仏教では神道のようには死を穢れとみなさない。

 葬式などは、仏教では寺で行うこともあるが、神道では神域たる神社ではなく各家で行う。
 これは神聖なものがなんであるかの違いであり、また、清めの塩は穢れを清めているものである。
 この穢れは死者ではなく、死という事象が穢れていると感じた精神的な物である。
 したがって死においては亡くなった方だけでなく、その身内も忌中の間は神域に立ち入ることは一般には許されない。
 一方で、死者を神として祀る神社があったり、また墓である古墳も神域と見なされる。

 もともと神道においては、穢れは「気枯れ」すなわち「生命力の枯渇」のことであるとされ、その状態では人は罪を犯してしまいやすい状態にあると考えられており、「心の平静を保てなくするような事象」はその「気枯れ」につながると考えられたために、死が穢れたものとされた、などの説がある。」

 

<脱線1> 

② 表記について ~「けがれ」と「穢れ」のちがい~

・「けがれ」・・・和語の本来的な表記。

 和語(現代日本語の基層となっている第1日本語:音声言語)の音声表現文字だから。


・「穢れ」・・・和語の便宜的な表記。「訓読み漢字」を使った表記。

 中国亜大陸からの漢字導入後に、上記和語(「けがれ」)に、漢字を「当て字」したものだから便宜的用法。

 (※「音読み漢字」・漢語(第2日本語)とは根本的にちがう用法。参考:第3日本語=カタカナ表記した外国語)

 

 「けがれ」を使わずに、「穢れ」を使うと、漢字「穢」の意味がくっついてきて、日本古来の意味とまじりあってしまう。

 そうすると、歴史的「けがれ」について誤解が生じる原因になる。

※漢字「穢」の意味=けがれ。けがれる。けがす。よごれる。けがらわしい。きたない。/荒れる。田畑が荒れる。雑草が生いしげる。/わるい。悪いもの。悪者。

 

 <脱線1の脱線> 

 (戦後の?)国語(日本語)教育の不備によって、少なくとも小中学校の「日本語についての教育」は、とてもレベルが低いと思う。
 特に、昭和50年代からのいわゆる「ゆとり教育」によって、(すべての教科の)内容:量がしだいに減らされ(最大で1/3減)てからは、悲惨ともいえるありさまだった。

 日本語は世界でも有数の「複雑な言語」なのだから、「日本語についての教育」はもっと言語学に基づいて充実したほうがいいと思う。
 特に、「和語」(「やまとことば」)についての内容が、非常に薄い。

 ①文字が4種類も!・・・ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字
 ②語彙が豊富・・・和語(縄文時代以前から)、漢語(2千年ほど前から)、外来語(中世から。明治維新、大東亜戦争後に激増)

 

(※「国語科の教育」=①国語使用能力を育てる教育。日本語の文章の理解力と表現力を育てる。説明・論説文、物語文など多様」 + ②国語(日本語という言語)そのものを理解させる教育=言語学:日本語学。文法(論)、文字(論)、語彙(論)など」)

 

 

<脱線2> 

 34年間にわたり、小学校の同和教育の現場で「部落差別」について学ぶ中で、かなり納得した言説(※学問的に認められているかどうかは分かりませんが)や、体験したできごとの一部を紹介します。

・嵯峨天皇 (809~823 平安時代初期)以降、朝廷は、全国の要所に治安維持のための常住兵士を配置した。同和地区として残存する集落がある。
 住んで暮らしていくための生業として、重要産業である皮革業を独占する特権(利権)を与えた。
 今でも、一部に先祖伝来の尊王思想をもっている方々もいるそうだ。

・「被差別民」とされている人々のなかには(多くは?)、下級末端役人として、百姓・町人に対する最前線で治安に関する仕事をした。だから、かなり嫌われたりうらまれたりしていた。
 一部には帯刀していた人(下級武士?)もいたらしい。

・明治の「解放令」以後になって、差別が非常に激化した。
 その理由は、
 皮革業利権の喪失(→貧乏化)などのほか、それまで「権力の末端」にいて治安業務や年貢の取り立てなどに携わっていた人々が、ただの「平民」になった(※格下げになった)ので、それまでの「復讐」を受け始めたから。
「キリシタン(キリスト教徒)弾圧」の最前線にいた人々を、欧米諸国の圧力で、明治政府が切り捨てたから。

 ~以上、言説~

 

・私が小学5年生の頃、友達から「ここは○つがいるから気をつけろ」と言われたことがある。しかし、その意味は、昭和51(1776)年に小学校教員になり「同和研修」を受けるまでわからなかった。

 その後調べたら、その地域では、江戸時代以後「ちょうりんぼう」(「長吏のぼう」から転音?)と呼ばれていたらしい。(伝聞)

・学校で「人権啓発としての同和教育」が始まる昭和40年代まで、《上記地域では、葬式などの際には、他の人々と同じ場所(座敷や本堂)には同席できず、一段下がった土間に座っていた。》と聞いたことがある。(伝聞)

 

~次回、明治以後の描き方~

<全リンク⇒1へ> <部落差別 141142143144145146147・>

【中学歴史教科書8社を比べる】148 ⒃ 「部落差別」の描き方のちがい <その8 ⅳ 明治・大正時代1/2>

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ⅳ 明治・大正時代の部落差別の描き方 1/2

 

 

1 解放令

 各社とも内容に大きなちがいはない。ただし、東京書籍と帝国書院は他社よりかなり詳しく説明している。

 なお、教育出版の「生活はむしろ厳しくなり…」や、学び舎の「生活に苦しむ人が増えた」という表現は、《差別だけによりさらに貧しくなった》という誤解を生むかもしれない。

 

<ウィキペデア:部落問題>より

・『今日の部落問題研究者は、被差別部落が貧しくなった原因は「社会の圧迫」ではなく松方デフレであったと指摘している。
 灘本昌久は次のように述べている。

 「重要なことは、部落の貧困化は差別問題とはまったく別のところからやってきたことにある。それが、松方デフレ政策にほかならない。

 1877年(明治10)に勃発した西南戦争で、明治政府は最強のプロ戦闘集団である薩摩武士を相手に多額の軍費を使い、不換紙幣を乱発したために、悪性のインフレに見舞われた。

 その解決のために、松方正義大蔵卿が急激な紙幣整理というハードランディング方式をとったために、一挙にデフレになり、部落の製造業が壊滅的打撃を受けたのである。

 決して、部落が狙い撃ちされて被害をこうむったわけではなく、また差別されて貧乏になったわけでもない。

 解放令は、江戸時代の解放論が抜擢解放(行ないが良かったり、社会に功績のあった者から順に身分を引き上げる)とい漸進的方式であったのに対して、明治政府の出した解放令は即時無条件全面解放という画期的なものであり、明治政府が青臭いまでに革命的であったことを物語っている。

 部落の貧困化は、そうした解放令とはまったく時期も原因もことなることにより引き起こされたのである。」』

 

 ただし、明治維新後の、急な貧困化が、「松形デフレ」だけによるものとも思えない。皮革業の独占廃止や、末端役人身分の喪失なども影響したのはまちがいないと思う。

 

~次回、2/2~

<全リンク⇒1へ> <部落差別 141142143144145146147148・>

【中学歴史教科書8社を比べる】149 ⒃ 「部落差別」の描き方のちがい <その9 ⅳ 明治・大正時代2/2>

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ⅳ 明治・大正時代の部落差別の描き方 2/2

 ~まとめ表再掲~

 

2 全国水平社

 「解放令」と同様に、全社が「全国水平社の結成】の記事を載せていて、大きなちがいはない。

 なお、東京書籍は当時の状況などについてかなり具体的な説明をしている。

 

<ウィキペデア:部落問題>より

・「水平社運動

 このような状況を改善するためにかつての賤民階層の人々(いわゆる「部落民」)は、自主的な運動を始め、差別糾弾・行政闘争を軸に運動を展開した。

 「部落問題が社会不安の原因になることを憂慮」した政府はこれらの運動が「左傾化」することを恐れ、弾圧と懐柔の両面で相対した。
 もっとも水平社は当初、「帝国臣民である以上、天皇の赤子として共に報国の権利と義務があり、それを差別により侵害するのは不当である」という意味の宣言をしていた。

 国民の融和を目的とし、人権侵害の防止に積極的でなかった政府の運動に反発した西光万吉阪本清一郎らが中心となり1922年(大正11年)に全国水平社が結成された。
 そして「人の世に熱あれ、人間に光あれ」で知られる創立宣言で「全國に散在する吾が特殊部落民よ団結せよ。吾々が穢多であることを誇る時が来たのだ。」と宣言した。

 今でこそ「特殊部落」は差別用語として扱われ部落民も避ける傾向があるが、水平社結成時には扱いが異なっていたことが機関紙第一号から読み取れる。」

 

・「当時は1917年(大正6年)のロシア革命の直後であり、活発化した社会主義運動はこれらの部落解放運動に大きな影響を与えた。
 また自由民権運動との関わりも深かった。
 激しい水平社の糾弾闘争は当時の人びとによく知られ、水平社がいわゆる「部落民」の代名詞となったほどである。

 しかし社会主義運動との連携を恐れた政府は後に水平社、特に日本共産党に関わりを持った左派を弾圧した。

 1920年代後半の低迷を経て、1930年代以降、再建された全国水平社総本部は、松本治一郎を中心とし、合法無産政党に連なる社民派が掌握した。
 1933年(昭和8年)の高松差別裁判糾弾闘争のように、大衆的な盛り上がりを見せることもあったが、次第に戦時体制に呑み込まれていき、弱体化、太平洋戦争突入後の1942年(昭和17年)に消滅してしまった。

 戦後に、「同胞融和」という言葉から部落問題のことを「同和問題」と呼ぶようになった。」

 

~次回、戦後・現在の描き方のちがい~

<全リンク⇒1へ> <部落差別 141142143144145146147148149・>

【中学歴史教科書8社を比べる】150 ⒃ 「部落差別」の描き方のちがい <その10 ⅴ 戦後・現在1/2>

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ⅴ 戦後・現在の「部落差別」の描き方のちがい 1/2

 

 

1  終戦直後の状況

 1行ほどの短い記事を書いているのは東京書籍、教育出版、日本文教、清水書院。

 

2 「現代日本の課題」

 これから大人になる中学生にとってとても重要な、「日本の課題」については、当然全社が項目立てをしている。

 その内容に、「部落差別」を入れているのは、上記1と同じ、東京書籍、教育出版、日本文教、清水書院の4社。つまり、この4社は、他社よりも、「部落差別」事象を歴史上も現在の問題としても重視しているということ。

 そこで、4社が、「現代日本の課題」のなかで「部落差別」をどのように位置づけしているか調べてみる。

 (※「課題」全体については、このシリーズの最後のほうでくわしく調べ、比べる予定)

 

① 東京書籍 「日本社会の課題」

・第7章 現代の日本と世界 
 1節 戦後日本の発展と国際社会(p242-257) 
 2節 新たな時代の日本と世界  (p258-275)
  1 冷戦後の国際社会
  2 変化の中の日本
  3 持続可能な社会に向けて 「日本社会の課題」「グローバルの進展」「歴史を学んで」(p262-263) 

■ 「日本社会の課題」

◇「防災やエネルギー面での課題」「地域の絆とボランティア活動の重要性」「一人一人が積極的に社会に参画して助け合う日本を創っていくことが求められています。」

◇「まず重要なのは、人権の尊重です。部落差別の撤廃は、国や公共団体の責務であり、国民的な課題です。」

 「アイヌの人々、在日韓国・朝鮮人、外国人労働者などに対する差別や偏見をなくすこと・・・」

◇「また、女性、子ども、高齢者、障がい者の権利を守り・・・安心して生活できるための社会保障制度を・・・」

◇「そのためにも・・・国民一人一人が積極的に政治に参加し、民主主義を活性化することが必要です。」(終)

 

 東京書籍は、現在の日本が解決すべき最重要課題は、「人権問題」であり、その第1は「部落差別問題」だ、と位置づけている。

 

② 教育出版 「未来をひらくために」

・第8章 現代の日本と世界
 3 冷戦の終結とこれからの日本 (p254-263)
  ⑨ 変動する国際社会
  ⑩ 私たちの生きる時代へ ~バブル経済と55年体制の崩壊~
  ⑪ 未来をひらくために (p260-263) 

■「未来をひらくために」

◇「社会の変化のなかで」・・・グローバル化、情報化 /少子高齢化 (12行)

◇「地球環境問題」・・・オゾン層の破壊、酸性雨、砂漠化、熱帯雨林の減少、地球温暖化 (7行)

◇「人権を尊ぶ」・・・部落差別の撤廃 /アイヌ・在日外国人・外国人労働者への差別や偏見をなくす /女性・子ども・障がい者・高齢者などの人権を尊重 ・・・ (10行)

◇「平和を築く」・・・戦後非戦、核廃絶へのリード、戦争放棄した日本国憲法の精神にのっとり… (10行+特集2頁:平和を願う人々と平和の祭典「オリンピック」)

 

 教育出版は、東京書籍とちがい、人権問題を3番目にあげている。

 

 (蛇足ですが・・・この教科書の最後の項:「平和を築く」の項の特集は、《世界の現実とずいぶんずれている》と思います。
  これが世に言う、「戦後日本人の平和ボケ」「お花畑」現象なのでしょうね。)

 

~次回につづく~

<全リンク⇒1へ> <部落差別 141142143144145146147148149150・>

【中学歴史教科書8社を比べる】151 ⒃ 「部落差別」の描き方のちがい<その10 ⅴ 戦後・現在2/2>(この項完)

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ⅴ 戦後・現在の「部落差別」の描き方のちがい 2/2

 ~表再掲~

 

2 「現代日本の課題」 2/2

 

③ 日本文教 「21世紀と日本の役割」

・第6編 現代の日本と世界 (p244-277)
1 平和と民主化への動き
2 国際化する世界と日本
 1 高度経済成長
 2 日本を取り巻く国際関係
 3 多極化する世界と日本
 4 先進国日本の課題・・・経済大国となった日本/55年体制の終わり/災害にみまわれた日本
 5 21世紀と日本の役割 (p270-275)

 ・国際社会と日本の役割(p270)・・・PKO,テロ対策、核廃絶、環境保護

  ・解決をせまられる国内課題 (p271)

 

◇「人権の尊重は最も重要な課題で、部落差別の撤廃は、国や自治体の責務であり、国民的な課題です。」

 

 「また、障がい者、在日韓国・朝鮮人、外国人労働者、アイヌの人々などの差別や偏見をなくしていく必要・・・」

 

 「男女差別、男女格差の解消も・・・」(10行)

 

◇「・・・行政、NGO,NPO、ボランティアなどが…」(6行)

◇4頁の特集(p272-275)=アイヌと沖縄の近代と現代 /災害の歴史に学び、私たちの未来に活かす

 

 日本文教は、東京書籍と同じで、現在の日本が解決すべき最重要国内課題は、「人権問題」であり、その第1は「部落差別問題」だ、と位置づけている。

 ※人権に関する記述内容は東京書籍とそっくり同じ・・・同じ著者? それとも…
 ※「国内課題」のとらえ方も、東京書籍と同じでボケ気味… それとも意図的…?

 

 

④ 清水書院 「今後の課題」

・第6章 現代の日本と社会 (p247-273)
1 戦後の日本と世界
2 冷戦下の世界と日本の経済成長
3 現代の社会と今後の課題
 1 冷戦後の世界
 2 現代の日本
 3 今後の課題

 ・世界の課題・・・人権の尊重と国際協調 /発展途上国 /地域紛争 /移民問題 /地球環境問題 (p272)

 ・日本の課題

◇「まず何よりも東日本大震災からの復旧・復興・・・除染」 (3行)

◇「差別問題の解消」・・・男女平等、部落問題、障がい者など、アイヌへの偏見、在日外国人 (10行)

◇国際協調の維持・・・非核、普遍的な人権の確立、途上国支援、地球環境問題への対処など (6行)

 

 教育出版は、人権問題を2番目にあげて、筆頭の男女問題の次に部落問題をあげている。

~以上でこの項完~

 

<脱線>

 現在(現行教科書検定はh26年度)の日本の課題・・・以上の4社はどうして最重要だと思われる《日本と日本人の生存そのものを左右する「国家安全保障問題」》を採りあげないのだろうか? 

 また、どうして、れっきとした「政権政党(第2次安倍政権は平成24年12月から)」がめざしている「憲法改正」が課題としてあげられないのだろうか?

 ここには、戦後の社会科教科書(小学校社会科、中学歴史、中学地理、中学公民、高校歴史など)にまつわる根深い問題があるようなので、このシリーズの最後に検証する。

 

~次回、内容未定~

<全リンク⇒1へ> <部落差別 141142143144145146147148149150151(この項完)>

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